イベントフォトレポート

原点回帰――。自動車の環境対応性能や経済性、安全性が声高に訴えられる昨今であっても、まずは「クルマにはたくさん夢が詰まった楽しいもの」という魅力を訴求しなければ未来は決して明るくない。若者のクルマ離れを憂う前に、まずは夢を見られるような自動車を。という初心に戻ったかのような提案を強く感じさせた東京モーターショー2017の一角に、同様の考え方を持ったソニックデザインがブースを出展した。
2003年の第37回モーターショーに初出展して以来、2004年の商用車ショーを除く連続出展を貫き、今回で8回目を数える。2017年10月28日(土)から一般公開が始まる第45回東京モーターショー、その会場である東京ビッグサイトの東展示棟1階「東3ホール」に、今年も格子状のブースが設けられたのだ。黒い縦格子が特徴的なThe Suite LOUNGEは、シンプルながらもひときわ存在感を放つ。毎年、同じ様相を貫くのは、ブランドとして鮮度や話題性よりも、普遍性を重視するがゆえのこと。ソニックデザインの製品は、そのどれもが自動車のライフを超越した、ともすれば一生モノとして付き合っていけるものばかり。だからこそ、刹那なトレンドに惑わされない一貫した主義主張のあるブース構成を、というブランドのメッセージである。

スピーカーに残された可能性を追求

それでは「カーオーディオにとっての原点回帰」とは何か。カーオーディオの主軸であり永遠のテーマなのはスピーカーだと捉えるソニックデザインは、今回、その初心に戻り、改めてその技術と魅力を世に訴える。昨今、デジタル端末やメディアの普及により、音楽を再生する機能的アプローチは飛躍的に増えた。自動車メーカーが純正採用するAV機器の進化も目を見張るばかりだ。ところが、いかに利便性の高いシステムを有していても、肝心かなめのスピーカーシステムがおざなりでは“いい音”を実現することはできない。だからこそ今回は「ハイエンドスピーカーメーカーとしてのソニックデザイン」という側面を強く打ち出してきた。
ひとつの究極系として、The Suite LOUNGEの中には最新型のメルセデス・ベンツSクラス(S560 4MATIC long)が展示された。車種別専用スピーカーパッケージの最高峰であるSonicPLUS THE CREST(222系専用モデル)を、さらに改良した限定品「SCR-222L」を装着している。「純正の機能を全て活かし、スピーカーを置き換えるだけ。それだけで、どこまでいい音を提供できるか」というソニックデザインが絶え間なく続けてきた挑戦の具現化だ。
加えてブースを取り囲むように設けられたショーケースには、数々の新製品が並べられた。上記のSonicPLUS THE CREST系に加え、メルセデス・ベンツS/E/Cクラス専用スピーカーパッケージのSonicPLUS CUSTOM、さらにはリニューアルしたばかりのBMW用や、お馴染みのトヨタ86用、スバル用などのSonicPLUSも展示された。インストールすれば目にすることのない製品の裏側には、高品質な工業製品だけに宿るかのような質感の高さが自然と伝わってくる。また「スピーカーをより小さく」というソニックデザインの一貫した哲学を理解できる。今回、これらの製品に関しては、試聴はできないもののより詳しい情報を得られる動画へ誘導するQRコードが設けられているので、会場でぜひお試しいただきたい。
そしてマイクロスピーカーテクノロジーをさらに大きく前進させる技術の一環として、今回は次世代ハイエンドスピーカーユニットのコンセプトモデルも発表された。内磁型をベースとしたソニックデザインの独自設計により、画期的な薄型を実現したという。発売に向けての具体的スケジュールはまだ未定だというが、今後の商品展開には大きな期待が持てる。

ブースで表現される“一貫した哲学”

昨今、ソニックプラスセンターの全国的普及に加え、自動車メーカーの正規ディーラーでの取り扱いも拡大し、新たなユーザーが増加している。だからこそなのか、ソニックデザインは己のスタイルを、そして哲学を一切変えることがない。東京モーターショーのソニックデザインブースを昔から知る層にとっては、もはやお馴染みの光景かもしれない。しかし、たとえ同じThe Suite LOUNGEでも毎回イチから作り直さなければならず、テーマを変え趣向を凝らすような華やかなブースと比べても、実際の手間暇はまったく変わらないという。それでも頑固なまでに同じスタイルを貫く。見た目はちょっと控え目で、けれどもその中身はトコトン高品質――。まるでソニックデザイン製品自体のような存在感は、ブースそのものからしてまったく同じだった。それは、ひとりでも多くの来場者へハイエンドスピーカーの魅力を訴求する一方で、なにより既存のユーザーを満足させてくれる最大の安心材料でもある。11月5日(日)まで開催される東京モーターショーの会場で、ソニックデザインは世界中のリスナーへ向けて、己の魅力を発信している。
〈モータージャーナリスト 中三川大地〉

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  • SonicPLUS THE CREST Limited
  • Sonic Design Sound Suite
  • スバル純正 Sonic Designスピーカーセット

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