イベントフォトレポート

ソニックデザイン リスニングキャンプ6 イベントフォトレポート

厳しい夏の暑さが一段落し、随所に秋の訪れを感じさせる頃になると、ソニックデザインユーザーはつい心が浮き立つ。気が付けば今回でもう通算7回を数える立派な恒例イベントへと成長した、ソニックデザインが主催するユーザー向けのミーティングイベント「ソニックデザイン リスニングキャンプ」がやってくるからだ。今回の正式名称は「ソニックデザイン リスニングキャンプ6」。開催日は10月4日(日)で、場所は昨年の同時期に開催されたリスニングキャンプ4と同じ「女神湖駐車場 特設会場(長野県北佐久郡)」だった。お客さんと販売店、そしてメーカー(ソニックデザイン)の相互を結びつける新しいタイプのミーティングイベントとして、ゆるやかな運営と空気感が特徴的なこのイベントは、肩肘張らず自然体でカーオーディオを楽しみ、同じ趣味を持つ仲間同士で語り合える場として、もはや秋の風物詩となっている。

道中のドライブもイベントの一環

今回の会場は、東西大都市圏のほぼ中間地点であり、ユーザーの多くが程よい距離を伴って道中のドライブを楽しめることで昨年も好評だった女神湖駐車場 特設会場(長野県北佐久郡)」。中央道・諏訪ICから、あるいは上信越道・佐久ICから1時間弱ほど山道を登ったところにある信州エリアの観光名所で、女神湖自体は八ヶ岳中信高原指定公園に指定されている。蓼科山の優美な山容を映す湖面を見たり、白樺高原にひしめく色付いてきた木々に囲まれるだけで、日常のストレスを吹き飛ばしてくれる。折しも開催当日は、会場の隣で女神湖感謝祭が開催されていて、そこでは八ヶ岳連峰が育んだ地元の名産品がふるまわれ、またはお土産品も数多く並んでいた。参加者の主目的はもちろんイベント自体であるものの、その道中、いい音を聴きながら自然の中をドライブしたり、また地元の観光名所や名産品を楽しむことだってできる。「いい音と走る」というソニックデザインの掲げるコンセプトは、今回もきっちりと貫かれていた。つまりは、そうした行為も含めての「ソニックデザイン リスニングキャンプ」というわけである。

 


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「生の声と、いい音を聴ける」貴重な体験

会場にはソニックデザインや各認定販売店のデモカーが一同に会し、そして全国各地からユーザーがご自慢のオーディオを備えた愛車と共に集まってくれた。これらのクルマを気軽に試聴できるのが「ソニックデザインリスニングキャンプ」のいいところ。ユーザー同士での試聴や情報交換などのコミュニケーションがひとつの核となり、参加者はそれを心底楽しんでいた。さらにはソニックデザイン自身はもとより、全国各地にある各認定販売店が勢揃いして、彼らの創りあげた音を実際に体感できる。それも各販売店の代表の方、あるいは凄腕インストーラーからプレゼンまでしてもらえる。それだけを取ってみても、こんな貴重な体験はなかなかできないと思う。
恒例行事となった「ソニックアンバサダーによる愛車試聴会」は、イベントの目玉企画として今回も開催された。ソニックデザイン製品を組み込んだ愛車と共にユーザー自身が音の使節(アンバサダー)となり、試聴プレゼンテーションをしていただこうという試みだ。午前午後に分かれて計13台。今回もまた国産車・輸入車の垣根は一切なく、カテゴリーもミニバンからスポーツカーまでいる。「オーディオのためのクルマ選び」ではなく「好きなクルマで思いっきりオーディオを楽しみたい」という意志が伝わってくるようだ。二人三脚でシステムを構築する各認定販売店の助力も手伝って、構築されたシステムはどれも興味深く参考になるものばかり。毎回のように参加するリピーターの方も多く、徐々に進化していくその様子を、彼らの苦労話を交えた生の言葉と、そして実際に奏でられる音楽で感じ取るだけでも楽しい。
さらに当日は希望者を対象に、オーディオ評論家の黛 健司氏によるサウンドクリニックが実施された。愛車の音と好きな音楽を理解していただいたうえで、よりよい音を得るためのアドバイスや、カーオーディオに関する質問や相談などに直接答えてくれるもの。これについては、黛氏の言葉を最後にご紹介したい。全体を俯瞰して感じることは、サウンドクリニックを受講如何に関わらずとも、ショップやユーザー同士が情報交換や聴き比べするすることで、クオリティは目に見えて上がっていっている。

ユーザーと共に成長するイベント

今回集った各認定販売店のデモカー、その詳細は下にある通り。いずれも各店の個性を如実に反映していたり、その上で新たなアプローチを仕掛けていたりと個性豊か。もちろんクオリティはどれも抜群だった。近年、店舗数が増えた全国各地のソニックプラスセンターの用意したデモカーの注目度は特に高く、車種別専用スピーカーパッケージであるソニックプラス製品の普及という意味では敷居の低い参考例が増えたのかもしれない。
ソニックデザインとしては現行メルセデス・ベンツCクラス(W205型)専用のサウンドチューニングキットである「ソニックプラス・アコースティックコントロール(SonicPLUS 205)」と、スバル車専用スピーカーパッケージである「SonicPLUS SUBARU」のトップグレードモデル「SFR-S01F」が、それぞれ実車と共に展示されていた。こうした新製品と接することができるのもメーカー主導イベントの大きな魅力だ。メーカーや各認定販売店が用意したクルマの試聴や情報交換がしやすいことも手伝って、ソニックデザインユーザーでなくても積極的に足を運びたくなる。実際、会場となる駐車場の外にある一般駐車場から、興味津々といった様子で足を踏み入れた方も少なくなかった。回を重ねるごとに増えているリピーターと共に成長するソニックデザイン リスニングキャンプは、こうして同時に新しい人々をも巻き込んでいく。「いい音と走る」という楽しさを伴って、このイベントはこれからも発展を続けていくに違いない。
〈モータージャーナリスト 中三川大地〉

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[デモカー出展認定販売店]

ユーズダイナー四倉店(福島県)ソニックプラスセンター新潟(新潟県)オートブラスト(埼玉県)サウンドワークス(千葉県)荒井タイヤ商会(神奈川県)クレアーレ(山梨県)ベイシス(愛知県)ソニックプラスセンター名古屋(愛知県)サウンドクリエイト金沢(石川県)ソニックプラスセンター神戸(兵庫県)

ユーズダイナー四倉店(福島県)

W204型Cクラスに乗るソニックデザインユーザーが目標としたくなるような1台がユーズダイナー四倉店のC200ステーションワゴンだ。純正ナビやCOMMANDシステムを含め操作系はオリジナルのままながらも、SD-T25とUNIT-N70Fでフロントステージを構築。リアドア純正位置にはさりげなくエンクロージュアが組まれSD-130Fがインストールされている。聴き疲れしない自然な音を目指したという彼らの狙いは、言葉としてそう説明を受けなくても耳が勝手にそう感じ取っているようで、いつまでも聞き続けていたくなる。

ソニックプラスセンター新潟(新潟県)

ハイエンド系を得意としつつもソニックプラスセンターとして敷居の低いシステムも提案するソニックプラスセンター新潟のデモカーは、真新しいプリウスG’sだ。ソニックプラスの最高峰「THE CREST 3C-P30L」を基本に据え、サブウーファーにUNIT-PX216Wを、プロセッサアンプとしてデジコア808iを採用する。ハイエンドな仕上げながらもソニックプラスの趣旨に従って実用性を損なわず、もちろん純正復帰も可能。これらが構築する音空間は、スピーカーの存在感などどこにもなく、ホールの空気感まで再現されていた。

オートブラスト(埼玉県)

日を追うごとに進化を遂げるオートブラストのプリウス。今回はサイバーナビの5.1ch機能を活かして全てのソニックデザイン製スピーカーを統一した音色で奏で、迫力のシアターサウンドを実現していた。フロントにSP-P30M、ダッシュボードセンターとリアにそれぞれTBM-1877Aiをインストールし、他社製のアンプなどを組み合わせ5.1chシステムを構築している。空気を奮わすその迫力は感動モノだ。エンクロージュアモデルであるがゆえにいかなる箇所にもインストールが容易で、結果として費用対効果の面も優れているという。

サウンドワークス(千葉県)

サウンドワークスが提案するトヨタ86は、エンジンや吸排気、足回りにロールケージまで備わった本格的なサーキットカー。普通ならオーディオレスとなるところを敢えて音空間を構築して持ってきた。構成としてはUNIT-N100NにUNIT-N52N、さらにSD-130Nを2本。それらをデジコア808iで駆動するハイエンドなもの。チューニングカーゆえ機関部やタイヤからの騒音が大きいので、それに負けないパワー感のある音を目指したという。もちろん軽量小型であることも導入のキッカケだった。この仕様はぜひとも走りながら聴きたい。

荒井タイヤ商会(神奈川県)

クルマに関わる多種多様な事業を展開する創業70年の老舗、荒井タイヤ商会のデモカーは、同社のレンタカーとして活躍するCクラスステーションワゴン(S204型)だ。純正ナビにソニックプラスSP-204Mをインストール、そこに他社製を含めて独自のコラボを展開させ、スピーカーの存在感をまるで感じさせない音空間を構築した。とはいえ基本は「リーズナブルな価格でいい音を提供する」という狙いを持った1台。このパッケージの費用が低く抑えられることには誰もが驚くそうで、さらには車種を問わずに再現性が高いという。

クレアーレ(山梨県)

クレアーレは、これが「究極であり、原点」というパッケージを持つCLA180を出展した。そう断言する理由としては、フロントスピーカーにD52N、サブウーファーにB80N、そしてデジコア808iとシンプルかつハイエンドな構成であること。ソニックデザイン製品の本領を色濃く味わうことができるという意味では「究極」だと言える。クレアーレ流セッティングも手伝って、拡がりや奥行きを感じさせるバランスのいい音だった。ユーザー次第では、ここからさらなる発展も考えられる。まさに「究極であり、原点」である。

ベイシス(愛知県)

大柄なSUV、アウディQ7の魅力を底上げするアプローチがベイシスにはあった。外観はノーマルを踏襲しつつも、乗員7人全員が同等の音質を楽しめる設定を目指したという。その内容を見ると、フロントにUNIT-N55NとUNIT-N70Nを組み合わせ、ラゲッジ下にB80Nを置く。その上でTBM-1877Aiを車室内の純正スピーカー位置に配置させる。すべての座席に適正なスピーカーをという配慮である。音量が小さくともクリアなサウンドを奏で、大音量ともなれば相応のパンチ力が宿る。乗員全員が楽しめる空間に仕上がっていた。

ソニックプラスセンター名古屋(愛知県)

開店間もないソニックプラスセンター名古屋は、好評を博しているスバルWRX STIにソニックプラスSFR-S01Mを装着、さらにサブウーファーとしてTBM-SW77を組み合わせた。ソニックプラスのスバル車用では中核モデルで、純正オプションナビとの組み合わせだが、耳心地の良いクリアサウンドが奏でられていた。フロント&リアセットで工賃込み24万円程度という敷居の低い価格帯や、ソニックプラスの特筆点である日帰り取り付け、加工ナシも魅力。サブウーファーはその後の発展性を考えての一例、という位置付けだ。

サウンドクリエイト金沢(石川県)

「主役はクルマ。カーオーディオは脇役」という趣旨を貫くサウンドクリエイト金沢は、CLA180を提案する。さりげなくフロントドアに設えたD52Nと、前席左右のシート下のB80Nをデジコア808iで駆動させるシステムだ。ハイエンドモデルの組み合わせながら、そのどれもが軽量小型設計ゆえ無加工で取り付けられる点こそ重要だと捉えている。これならば工賃の圧縮につながり、車両売却時のリセールにも期待できる。肝心なる音は、フロントフルレンジコンセプトであるD52Nの利点が存分に生かされ立体感が際立つものだった。

ソニックプラスセンター神戸(兵庫県)

老舗のサウンド21を母体として展開の始まったソニックプラスセンター神戸は、現在、彼ら自身が力を入れているというBMWを用意した。車種は売れ筋の3シリーズツーリング(F31型)。与えられたのはソニックプラスSP-F30Fを中心に、シート下にサブウーファーとしてSD-77F×4というもの。「純正位置かつクルマ側に加工のない取り付け方法で、どこまで高音質を狙えるか」というコンセプトのもとにまとめられた。同じ口径のスピーカーを6個組み合わせたことで定位が定まり純度が高く、厚みのある音色が特徴的だ。

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SonicAmbassador x Pro Shop

実はUさん、昨年の同時期に開催されたリスニングキャンプ4に初参加し、その時は納車間もないアウディA3にソニックプラスをインストールしたことがきっかけで若き日に没頭したオーディオカスタムへの欲求が再燃していた時だった。あれから1年。Uさんは大幅な成長を遂げていた。「音って奥が深いなぁって再確認して。今では配線とかアースとか、電圧の変動を考えながら、どう設定しようか研究しています」と、玄人っぽい発言が飛び出すまでに。気になる現在の仕様は、フロントスピーカーはUNIT-N70N、トゥイーターはSD-T25、そしてシート下にB80Nを設置している。さらに他社製のヘッドユニットやアンプ、ケーブル類を駆使し、Uさんが理想とする音環境を追究している最中だった。「Uさんはとても研究熱心。毎回、テーマを決めて自分なりに研究してからご相談に来られるので、我々としてもアドバイスしやすい。“こういう曲が聴きたい”と相談に来られると、一緒になってベストアンサーを探したりして、共に成長させて頂いている感覚です」とサウンド21の島田さんは述べる。対してUさんは「ひとついい音を手に入れたら、また次のステージが見えてくるんですね。で、どうしても欲しくなる。システムアップをしていくほど、いろいろな音楽をより深く味わえることを再確認した」と言うように、“いい音”はもとより、それを得るための成長過程そのものを楽しんでいるようだ。

2008年式なのにまるで新車のように光り輝くこの日産GT-Rは、見た目はノーマルながらも吸排気やコンピューターが改造された走り仕様だ。あくまで純正風情にこだわるオーナーのKさんにとって加工が要らないオーディオシステムの構築はマストだった。だからこそのソニックデザインである。「実は昔から走ることと共にカーオーディオも好きで、このGT-Rに搭載したスピーカーは以前の愛車から移植して、もう10年近く使っています」という。その正体はSYSTEM 77Rというもの。そこにSD-130Rをサブウーファーとして2本組み合わせて鳴らしている。「このスピーカーが奏でる、鋭くてクリアに感じられる音が妙にしっくりくる」というKさんの意見を尊重し、大切に移植をしてくれたのがベイシスだ。「ホーム用オーディオならば10年20年使うケースはザラにあります。しかしクルマの世界では短命でした。その理由は、スピーカーを次のクルマへと移植させるという概念に乏しかったこと。さらに、高温多湿で雨にも濡れる車のドア内ではスピーカーの傷みが激しくなること。だけどエンクロージュア一体型ならば、雨や湿気による痛みを最小限に抑えられて、結果的に耐用年数が長くなります」とベイシスの矢野さんは述べる。好きなクルマやオーディオはできる限りそのままの姿形で、長きにわたってキッチリと使い続ける。そんなKさんの考え方がベイシスとの協力のもときっちり具現されていた。

「ソニックデザインの真骨頂であるエンクロージュア一体型のスピーカーシステムを付けたくて、クルマ自体を買い換えちゃいました」と、開口一番。そう断言するのは真新しいレクサスRC300hでやってきたSさんだ。以前はBMW3シリーズのクーペ(E92型320i)に乗って、その走りとカーオーディオ趣味を満喫していたが、エンクロージュア一体型を装着させるのが難しい車種であったため、システムアップをやむなく断念していたのだ。しかし先日、フラリと立ち寄ったレクサス店で新車をポンっと購入。そこからUNIT-N55NにUNIT-N70Nという念願のエンクロージュア一体型スピーカーシステムを導入。さらにサブウーファーとしてSW-77Nを組み合わせ、デジコア808iで駆動させた。クルマの購入費用を含め、けっこうな投資だったのではと伺うと「それでも得られた音には大満足。クルマ自体の燃費が良くなったし、かつレギュラー仕様だからランニングコストは安いんですよ」と笑みを浮かべる。インストールを請け負ったサウンドクリエイト金沢の福田さんは「Sさんはボーカルが強調されるような音がお好みなので、そういうチューニングをさせて頂きました。デジコアはグローブボックス内に設置し、スピーカーもフロント部分だけで完結させたのもコダワリです」と述べる。確かに見た目はノーマル然としていてスッキリ。レクサスの世界観を少しも損なっていないのが印象的だった。

Kさんはもともと走り好きなスバリストで、以前はレガシィに乗っていた。それが昨年9月にレヴォーグに乗り換え、たまたまソニックデザインの雑誌記事を読んだことから、趣味嗜好のベクトルが変わった。「今まではアフターマフラーとかスポーツタイヤとか、クルマがうるさくなるばかりだったのが、今度は静粛性を高めていいオーディオサウンドを楽しみたくなりました」と言う。そこで記事を頼りにサウンド21へと駆けつけ、いきなりソニックプラスのハイグレードモデルをオーダー。それを純正オプションであるサイバーナビと組み合わせて満足していたが、数多くのシステムを聴けるサウンド21の環境や、本イベントへの参加などが手伝って次第に“いい音”に感化され、今ではトップグレードたる「SonicPLUS SUBARU SFR-S01F」に、デジコア808iを組み合わせるに至った。誤解のないよう補足すると決してサウンド21が無理強いしたわけではない。「Kさん自身は非常に男らしいというか、迷いがない。常に即断即決でしたね。スバルには車種別専用のトップグレードがあるのが手伝って、無駄なく最短距離でSさん好みの音をご提供できたのではないかと思います」と、同社の島田さんは言う。女性ボーカルや矢沢永吉を聴くことが多いというSさんは、現在、この仕様に大満足している。「お客さんの聴く音楽に応じて調節している」というサウンド21のチューニング術もまた秘訣のようだ。

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[サウンドクリニックとは何か? 〜オーディオ評論家 黛 健司氏に訊く〜]

オーディオ評論家の黛 健司氏によるサウンドクリニックとはいったい何か。よりよい音を得るためのアドバイスや、カーオーディオに関する質問や相談などに直接答えてくれるというが、“クリニック”という言葉を聞くと、堅苦しいイメージがつきまとったり、あるいは敷居の高さを感じてしまう。しかし彼はその先入観をまず否定する。
「私自身はいわゆる“オーディオ談義”だと思っています。システムを具体的にどう改良していくか、それはお付き合いしているショップのインストーラーに尋ねればいいこと。私は“あなたが仕上げたシステムの、どんなところがいいと思うか、問題点はないか。こういう部分に苦労したのではないか”という部分を聴いて分かる範囲でお答えしています」
クリニックは1台(1人)につき20分とわずかなもの。しかも、黛氏は限られた時間のほとんどを、音を聴くことよりも受講者と話すことに費やすという。
「普段みなさんはオーディオ談義を統一言語で交わせる機会は少ないはず。加えて各ショップには相応の個性がありますから、どうしても似ている事例ばかりになる。だからこそ私は、長年の経験で造り上げた耳と、それを基にした公正な意見を持ってオーナーさんと“オーディオ談義”をしています。それがとても喜ばれるという実感があるし、その後のモチベーションアップにもつながるらしいんです。そうした意味ではオーディオのクリニックというよりも、みなさんの心を満たすようなクリニックかもしれません」
とはいえ最低限のカルテとわずかな時間での試聴のみで、受講者の狙いや迷いを一発で見抜く必要があるのだから、黛氏にとっても真剣勝負だ。そんな真剣勝負のおかげで、受講者に全面的に支持され、今ではリピーターが増える一方。しかも誰もが回数を重ねるごとにいい音になっているという。そんなサウンドクリニック、システムの評価が知りたい人や、なにかに迷いを持つ人は、気楽に“オーディオ談義”するつもりでエントリーして欲しい。

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[リスニングキャンプとのつき合い方 〜総括〜]

黛氏はリスニングキャンプの開催中、ほぼ全ての時間をサウンドクリニックに費やす。彼自身は「一般来場者やショップデモカーの音をもっと聴きたい」と考えている。そう彼に思わせるほど、来場者の愛車やデモカーの完成度が高く、素晴らしい音空間ばかりだということだろう。
「特に最近はみなさんの音が目に見えて良くなってきたことを実感しています。カーオーディオはいいシステムを使って、上手な人が構築すれば音はいい。その点、ソニックデザイン製品に間違いはありません。しかし、取り付けて最初の調整まではインストーラーの責任かもしれませんが、そこから先、クルマをいい音に育てていくのは最終的にオーナーの手腕であると思います。そして、それこそがカーオーディオの醍醐味です」
ユーザー自身が愛車を構築するにあたって欠かせないのが、いい耳を養うこと。そのためにもリスニングキャンプは最適な場であるという。
「他人の音と聞き比べしたり、あるいは遠慮なく疑問点をぶつけたり、和気藹々とオーディオについて語り合ったり、というのはとても大事なこと。いろんな音を聴くほどに絶対に自分の耳は良くなるのは間違いありません。それはこの業界で40年以上、オーディオを聴きまくってきた私が保証します。みなさんも遠慮なくいろんなクルマの音を聴いてください。そうすれば、愛車の音をあらためて見つめ直せて、もっと細かい部分まで掘り下げて考えることにもつながるでしょう。
オーディオ評論家 黛  健司クルマの音を良くするのは、製品自体や優秀なインストーラーが必要不可欠ですが、それだけではなく、なによりもみなさん自身の経験と熱意が必要なんです。お互いにそれを養うために、また次回お会いしましょう」として、今回のリスニングキャンプを締めくくった。

第6回リスニングキャンプ開催概要

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